現在、管理人は小林製薬のエクオールを使っていますが、なかなかに体調は良いです。
小林製薬のエクオールは価格も安いし、エクオールと一緒にアグリコン型イソフラボンがたっぷり入っているのでエクオール産生能が上がっていくことも期待できます。
更年期のモヤモヤに悩まされている方に、ぜひオススメしたいサプリメントです。
でもちょっと気になるのが、有効成分のひとつ「ブラックコホシュ」。
女性ホルモン様作用があり、乳がんの人は避けた方がよい…というのをどこかで読みました。
もともと乳がんが怖くてホルモン補充療法をしないと決めたので、実際のところはどうなのか心配です。
北米ではメジャーなブラックコホシュ
日本ではあまり馴染みがありませんが、ブラックコホシュはハーブの一種で更年期の女性向けサプリメントとして北米では最もよく使われています。
ブラックコホシュは北米原産のキンポウゲ科の植物で、白く美しい花を咲かせます。
女性用ハーブとしては、実がなったあとの根と根茎を乾燥させたものを利用します。
アメリカ先住民の間で古くから使われてきて、女の根と呼ばれていました。
ブラックコホシュと更年期の症状
ブラックコホシュが更年期のホットフラッシュや夜間の汗に効果があることを示す研究は多数あります。
ただし、ヒトを対象にした研究はオープン試験(ブラックコホシュだと知らされて飲む試験)のことが多く、プラセボ効果が少なからず影響していそうです。
医薬品の試験では、二重盲検比較試験といって、医師も患者もそれが「薬」か「プラセボ(成分の入っていない偽薬)」かわからない状態で効果を検証します。
ブラックコホシュの効果を検証する試験では、二重盲検で実施されたものは少ないです。
ブラックコホシュは欧米ではとてもポピュラーで、更年期の血管運動症状(ホットフラッシュ、発汗)に対するサプリメントとして最も売れています。
病は気からといいますが、「ブラックコホシュは効く!」と思われているので、ブラックコホシュだと知っていて飲むと、本来の効果よりも高い効果がみられるかも…ということです。
ブラックコホシュと更年期症状に関する研究
- ラットの閉経モデルでは、ブラックコホッシュは卵巣摘出に伴う体温調節異常の減少に有効でした。しかし効果が出るまでに時間がかかりました。[1]
- 閉経後のラットで行った実験では、ブラックコホシュを与えると、閉経後の骨量減少を53.7%から38.7%に減らすことができました。[2]
- 45-60歳の睡眠障害を有する48人の閉経後女性を対象に、ブラックコホッシュまたはプラセボのいずれかを毎日投与したところ、ブラックコホシュを投与した人たちに睡眠改善の効果がみられました。[3]
ブラックコホシュとエストロゲン
ブラック・コホッシュは過去にはエストロゲン(女性ホルモン)に影響すると考えられてきました。
しかし最近の研究では、ブラックコホシュはエストロゲン化合物を含まず、エストロゲン活性はないことがわかっています。
ブラックコホシュはドーパミン作動性、ノルアドレナリン作動性、セロトニン作動性およびGABA作動性物質を介して中枢性に作用し、更年期の血管運動症状に効果を示すのです。[4]
ブラックコホシュを摂取しても、血液中のエストロゲンは増えません。
ブラックコホシュと乳がんの関係
少し古いデータですが、ブラックコホシュと乳がんに関する研究があります。
- ブラックコホッシュはエストロゲン反応性乳がん細胞の増殖を抑制する。このことから、ブラックコホシュは抗エストロゲン作用を発揮する可能性があることが示唆される。 [5]
乳がんに関する他の研究では、乳がんのホルモン療法の副作用対策にブラックコホシュを併用しています。
- ブラックコホッシュをタモキシフェン治療中に併用することにより更年期症状が軽減され、タモキシフェンの認容性が良くなることが示されている。[6]
タモキシフェンはエストロゲンを抑制する薬です。
エストロゲンに反応して育つタイプの乳がんの治療薬として使われますが、薬で女性ホルモンを抑えるので副作用として更年期症状が問題になってきます。
ブラックコホシュは女性ホルモンとは関係なくホットフラッシュなどの更年期症状を軽減することが期待されるので、副作用軽減をねらってタモキシフェンと併用できるのです。
もしもブラックコホシュにエストロゲン様作用があって乳がんに悪影響なら、このような試験は行われません。
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ブラックコホシュの副作用
- 胃の不快感、胸やけが低い割合ですが報告されています。気になる方は食後に飲むとよいでしょう。
- 肝臓への影響について
過去の研究のメタ分析によると、2010年までに2000人以上が臨床試験に参加しており、肝毒性が報告されたケースはありませんでした。
1020人の女性からのデータを分析した結果、ハーブエキスとして使用する範囲でブラックコホシュに関連した肝毒性の証拠は見つかりませんでした。[7] - 400人の女性にブラックコホッシュの抽出物を52週間投与後、生検により子宮内膜の厚さを測定した研究では、ブラックコホシュはホットフラッシュを軽減したが、子宮内膜の肥厚および膣肥厚はみられなかった。[8]
- ブラックコホッシュは、子宮内膜腺癌細胞の17β -エストラジオール誘導性細胞増殖を阻害します。[9]
まとめ
ブラックコホシュは更年期のホットフラッシュ、発汗(特に夜間の汗)、よく眠れない…こんな悩みに効果が期待できます。
これは女性ホルモン様作用があるからではなく、ブラックコホシュにはエストロゲン活性はありません。
乳がんや子宮がんのリスクは心配しなくても良さそうです。
製薬会社のサプリに入っている成分なので大丈夫だろうとは思っていましたが、自分で調べると納得しますね。
参考文献
[1]Ma X, et al Effects of an isopropanolic-aqueous black cohosh extract on central body temperature of ovariectomized rats. J Ethnopharmacol。 (2011) [2]Seidlova-Wuttke D, et al Evidence for selective estrogen receptor modulator activity in a black cohosh (Cimicifuga racemosa) extract: comparison with estradiol-17beta .Eur J Endocrinol .(2003) [3]Black cohosh improves objective sleep in postmenopausal women with sleep disturbanceK. Jiang, Y. Jin, L. Huang, S. Feng, X. Hou, B. Du, show all. Climacteric.Pages 559-567 ( 2015) [4]Black cohosh (Cimicifuga racemosa) is a non-estrogenic alternative to hormone replacement therapy
Wolfgang WuttkeEmail author and Dana Seidlová-Wuttke
Clinical PhytoscienceInternational Journal of Phytomedicine and Phytotherapy(2015) [5]Bodinet C, Freudenstein J Influence of Cimicifuga racemosa on the proliferation of estrogen receptor-positive human breast cancer cells.Breast Cancer Res Treat (2002) [6]Rostock M, et al Black cohosh (Cimicifuga racemosa) in tamoxifen-treated breast cancer patients with climacteric complaints – a prospective observational study.Gynecol Endocrinol.(2011) [7]Naser B, et al Suspected black cohosh hepatotoxicity: no evidence by meta-analysis of randomized controlled clinical trials for isopropanolic black cohosh extract.Menopause .(2011) [8]Raus K, et al First-time proof of endometrial safety of the special black cohosh extract (Actaea or Cimicifuga racemosa extract) CR BNO 1055.Menopause .(2006) [9]Black cohosh inhibits 17β-estradiol-induced cell proliferation of endometrial adenocarcinoma cells
So Yun Park, Hee Ja Kim, Sa Ra Lee, Youn-Hee Choi, Kyungah Jeong & Hyewon Chung.Gynecological Endcrinology(2016)